第3話 〜出会いの始まり〜

決闘者 デュエリストの物語 第3話〜出会いの始まり〜

―偶然なんて存在しない。
――全ての偶然は必然なんだ。
―――それは出会いも変わらない。
 (運命論者の言葉)

慶太「たっだいま〜」

 両手に袋をぶら下げて、慶太が帰ってきた。

遼「何買ってきたんだ?」
慶太「え〜と、幕の内弁当だろ? イカ飯弁当にちらし弁当、焼肉弁当にシュウマイ弁当、海鮮弁当に、え〜と、それから……」
遼「分かった……もういい……。それにしてもよく食べる気になるな……」
慶太「何でだよ? やっぱ、列車の旅と言ったら駅弁だろ?」
 
 そう、二人は今、電車に乗っている最中なのだ。目的地はもちろん「エキスパートグランプリ」の開催される「森間(しんま)市」、二人は昨日から電車に乗り続けている。

遼「確かに、それには俺も賛成だよ。でも、俺が言いたいのはそこじゃない」
慶太「じゃ、何なんだよ?」
遼「食べすぎなんだよ! もう10回目だぞ!? しかも毎回5個は買ってるだろ!」
慶太「腹が減っては戦は出来ぬってな。これも大会で優勝する為だ!」
遼「なんで明日の大会の為に今日食べるんだよ……」
慶太「細かい事は気にするなよ」
遼「ああ……そうするよ……」

 1時間後……電車は森間市に到着した。二人は今、駅前の地図の前にいる。

慶太「はぁ〜、やっとついたー!」
遼「とてつもなく疲れる旅だったな……」

 本当に疲れた声で、遼が言った。

慶太「こんなので疲れてちゃ、明日もたねーぞ」
遼「お前のせいで疲れたんだよ……」
慶太「ん? なんかいったか?」
遼「いや……もういい」

 話しても無駄だと判断して、遼は話すのを止めた。

慶太「それにしても、早く来すぎじゃねーか? 大会は明日だろ?」
遼「遅れるよりいいだろ? まあ、都会を見て回りたかったのもあるけど」
慶太「確かに、こんな所に来たのは初めてだよな。俺らの町は田舎だからな〜」

 あたりを見回しながら慶太。――と、顔がピタリと1点で止まった。どうやら何かを見つけたようだ。

慶太「おっ!」
遼「どうした?」
慶太「あそこに公園がある。行ってみようぜ!」
遼「あ、おい! ちょっと待て!」

 慶太が、公園に向かって走り出す。遼も慌ててその後を追った。

慶太「とうちゃ〜く!」
遼「慶太! 1人で先に進むな!」
慶太「おぉ、すげ〜! この公園、体感システムがあるぞ!」
遼「聞いてるのか! ……って体感システム!?」

 体感システムとは、デュエルのダメージを電気刺激で実際に体感できるシステムの事だ。――と、言っても、それ程強い衝撃ではないが……。

慶太「ほら、あそこ見ろよ」
遼「確かにあるな。でも何でこんな公園に……?」
?「ふふ、公園に体感システムがあるのが珍しいですか?」
慶太「ん?」

 声に反応して振り向いく。
 声の主は少女だった。手に決闘盤をしている事からデュエリストだと言う事が分かる。肩まで伸びる黒髪に、ジーンズとシャツと言う活動的な格好だ。――しかし、どこかおとなしそうな雰囲気が感じられる。

?「この辺りの公園なら、どこにでもあると思いますけど?」
慶太「俺らはこの辺の人間じゃねぇからな」
?「あっ。もしかしてデートですか?」
遼「デ、デートぉ!?」

 遼が間の抜けた声をあげる。それに対して、少女の目はキラキラと輝いている。よほど興味があるのだろう。




慶太「良かったな〜。デートだってよ〜♪ グエッ!」
遼「俺は男だ! ここに来たのはエキスパートグランプリのため!」



 少女が一瞬、苦笑を浮かべる。



?「そう? じゃあ、普通に話すわ」
慶太「そうそう。その方が絶対いいって」
遼「まあ、確かに敬語はかた苦しいしな」
?「ふふ、そうかもしれないわね」
慶太「そういえば、あんたの名前なんて言うんだ?」

 今更ながら、慶太が切り出した。

?「人に名前を聴くときは、自分から名乗るものだと思うけど?」

 少し意地悪そうに言う少女。

慶太「そりゃそうだな。俺は慶太。竜守慶太だ。よろしくな! んで、こいつが……」
遼「武神遼だ。よろしく」
?「私は栞(しおり)。雫石栞(しずいし しおり)よ。こちらこそよろしくね」
慶太「おう!」
栞「そういえば、何か言いたかったんじゃないの?」
慶太「あっ、そうだった! デュエルしようぜ!」



 勢いをつけて決闘盤を突き出しす。

遼「会ってそうそうデュエルか……。お前らしいな」
慶太「そんなほめんなよ」
遼「あきれてるんだよ……」

 遼が疲れた声を漏らす。

栞「ふふ、いいわよ。ライバルの情報を知っておくのもいいことだしね」
慶太「ってことは、栞もエキスパートグランプリに……」
栞「ええ、出場するわ」
遼「なら、明日戦うかも知れないってことか」
栞「そういう事。敵の情報収集は大事でしょ?」
遼「ま、たしかにそうだな。ありがたく見せてもらうとするよ」
慶太「手加減しねぇぜ!」
遼「それは手加減するほど強いやつの言うセリフだろ?」
慶太「なんだと!?俺の強さを見せてやる!」
栞「じゃあ、見せてもらおうかしら」
慶太「おう!やってやる!いくぜ!」

慶太&栞『デュエル!』



慶太VS栞 LP8000:LP8000  説明『モンスター名<攻撃力(元々の攻撃力)/守備力(元々の守備力)>LV(元々のLV)』
BATTLE!! ◎:戦闘勝利 ×:戦闘敗北 △:戦闘引分

〓慶太ターン<1>〓
慶太「俺の先行!『サファイアドラゴン<1900/1600>4』を召喚してターンエンド!」



〓栞ターン<1>〓
栞「私のターン。サファイア……キレイね。――なら私も、『サファイア・ウルフ』を召喚するわ」

 栞の場に、青紫を纏いし巨大な結晶が姿を現した。『サファイア・ウルフ』と言うからには、恐らくはサファイアなのだろう。

慶太「なんだこのモンスター!?」

遼「見たことないな。それ以前にモンスターなのか?」

栞「正真正銘のモンスターよ。『ストーンモンスター』って言うの」
慶太「ストーンモンスター?」
栞「ええ、「結晶石」と書いて「ストーン」。さしずめ「結晶石獣」ってところかしら」
慶太「「結晶石獣」ねぇ……いまいちしっくりこねえなぁ」

 見た目がモンスターとはかけ離れた姿なのだ。当然と言えば当然だろう。



栞「デュエルモンスターズには、裏設定があるのは知ってるわよね?」
慶太「ああ、カードに話があるってやつだろ? キゴバイトとか」
栞「そうよ。結晶石もその1つなの。遥か過去に創られた、意思を持った結晶なのよ」

遼「意思を持ってるようには、見えないけどな」

栞「当たり前よ。これはまだ「ストーン」だもの」

 栞の言葉とともに、結晶石が輝きを増す。その表面が一瞬揺らめいたかと思うと、中からサファイアで形作られた獣、――狼が飛び出した。

栞「これが『ストーンモンスター』。『サファイア・ウルフ<2100/100>4』よ」

『オォォォォン』

 獣は大地に降り立つと同時に、歓喜の雄叫びをあげた。

慶太「なっ!? 攻撃力2100だと!」
栞「『サファイア・ウルフ』の攻撃!』
≪サファイア・クロー≫

慶太「くそっ! 迎え撃て『サファイアドラゴン』!」
≪サファイア・スパーク≫!

同質なる2つの光、青紫と青紫が激突する。

BATTLE!! 
×サファイアドラゴン ATK1900 VS ◎サファイア・ウルフ ATK2100
     慶太:8000→7800 栞:8000

慶太「くそっ! そんな攻撃力ありかよ!?」
栞「もちろんデメリットもあるわよ。といっても『ストーンモンスター』全てに、共通する能力なんだけどね」
慶太「『ストーンモンスター』の能力? なんなんだよそれ!」
栞「焦らなくても、もうすぐ分かるわよ。カードを1枚セットしてターンエンド。――同時に『ストーンモンスター』の効果発動!」

  「サファイア・ウルフ」がその身を低くし、防御の体制をとる。地面に突き立つその姿は、巨大な岩の様にも見える。

サファイア・ウルフ≫攻撃→守備

慶太「……守備表示になった。これが『ストーンモンスター』の能力なのか?」
栞「そう、『ストーンモンスター』はエンドフェイズに表示形式が変更されるの」
慶太「そういうことなら、やり方なんていくらでもあるよな」

〜場の状況〜
慶太 LP7800 手札5枚
≪モンスター≫
なし



≪魔法・罠≫
なし



栞 LP8000 手札4枚
≪モンスター≫
サファイア・ウルフ≫攻撃



≪魔法・罠≫
伏せカード1枚

〓慶太ターン<2>〓
慶太「俺のターン! いくら攻撃力があろうが守備力100なら簡単に倒せるぜ!」
栞「ふふ、できるかしら?」

 栞が笑みをうかべる。イタズラを思いついた子供の様な笑顔だ。――しかし、慶太はそんな事は気にしない。

慶太「『スピア・ドラゴン<1900/0>4』を召喚! このカードは、攻撃対象のモンスターが守備表示でも貫通ダメージを与えることができる!」

 「古代の機械巨人」や「天空騎士パーシアス」などに代表される「貫通効果」を持つドラゴン族モンスターだ。――ただし、このカードは、攻撃後に守備表示になると言うデメリットを併せ持っている。

遼(相手がせっかくヒントくれてるのに……何にも考えてないな、あいつ)

慶太「『スピア・ドラゴンで』『サファイア・ウルフ』を攻撃!」
栞「伏せカード『速魔:結晶石反転ストーン・リバース』発動するわ。『ストーンモンスター』1体の表示形式を変更して、そのターンのみ攻守を500ポイントアップ!」
慶太「なに!?」



サファイア・ウルフ≫守備→攻撃



● サファイア・ウルフ ATK/DEF 2100/100→2600/600 



BATTLE!! 
×スピア・ドラゴン ATK1900 VS ◎サファイア・ウルフ ATK260

     慶太:7800→7100 栞:8000



慶太「チクショ〜! またかよ!」
栞「だからいったじゃない。できるかしら、って」
慶太「くそっ!」
栞「『ストーンモンスター』の能力は使いようによってはメリットになるのよ。相手の攻撃を誘ったり――ね。例えばの話だけど」
慶太「ぐっ……!」

 栞の言葉が慶太の神経を逆なでする。作戦、と言うよりは、単にからかっているだけの様だが……。

慶太「1枚伏せてエンドだ!」




 叩きつけるようにカードをセットする。

遼(慶太の奴。頭に血が昇ってるな……。大丈夫か?)



サファイア・ウルフ≫攻撃→守備



〜つづく〜



あとがき

ティーア「読んでいただきありがとうございます」
栞「ありがとうございます」
ティーア「ああ……挨拶が棒読みじゃないって素晴らしい!」
栞「そ、そこまで感動しなくても……」
ティーア「感動もするでしょう! あの2人の挨拶を聞いた後なんですよ!?」
栞「と、ところで私の使っている「ストーンモンスター」のことだけど……」
ティーア「あ、あれ? いい効果でしょ? 今までに無い感じで。イメージは石がコロコロ転がる感じ。……まあ、最初に考えたのとは設定が別物になってますが」
栞「初めは「結晶石」じゃなくてただの石だったらしいしね。でも、なんで石にしたの?」
ティーア「あ、それは、僕が石好きだからです」
栞「……それだけ?」
ティーア「もちろんです!」
栞「自慢げにいわれても……」
ティーア「まあ、専用カードがほとんどなのが、欠点と言えば欠点ですね」
栞「ふふ、がんばってね」
ティーア「ありがとうございます。では今回のオリカリスト行ってみましょう!」
栞「今回、話題がグチャグチャね……」」


 


オリカリスト


 


サファイア・ウルフ レベル4 光 岩石族・ストーン
ATK2100 DEF100
効果:エンドフェイズにこのカードの表示形式が変更される。(裏側表示の場合も適用する)
このカードが戦闘によって墓地へ送られた時、フィールド上のモンスター1体の表示形式を変更する。


 


→初登場の「ストーンモンスター」。
 エンドフェイズに表示形式変更というトリッキーな効果を持つ。今までに類を見ない(はず)の効果な為、かなり扱いづらいと思われるます。
 さあ! 作者が使いこなせるか、今後に注目ですよ!(そっち!?)


 


結晶石反転ストーン・リバース  速攻魔法
効果:フィールド上に表側表示で存在する「ストーンモンスター」1体の表示形式を変更する。
エンドフェイズまでそのモンスターの攻撃力・守備力は500ポイントアップする。


 


→「ストーンモンスター」専用補助カード。
 相手の攻撃を誘ったり、自分のターンで攻撃力をアップさせて攻撃したり……ご自由に
どうぞ。(ぉぃ



 慶太の首を絞めながら、遼が早口で叫ぶ。

?「え? そうなんですか!?」
慶太「ゲホゲホッ、こいつのこと女だと思ったんだろ?」
?「えっと……はい」
慶太「あっ、別に気にしなくていいぜ」
遼「なんでお前が言うんだ!」
慶太「別にいつものことだろ?」
遼「そ、それは確かにそうだけど……。人の気にしてることばっかり言うな!」
慶太「そんなに怒るなよ。悪かったって」
遼「本当だな?」
慶太「ホント、ホント」

 慶太が軽く返事をする。とても軽い返事だ……。

遼「はぁ……」

 怒る気も失せて、遼はため息をつく。同時に、振り上げていた右手もおろす。

慶太「あ、そうだ。あんたデュエリストだよな? 決闘盤つけてるし……」
?「ええ、この公園はデュエルが出来るので……」
遼「体感システムがあるからか?」
?「ええ、と言っても、この辺りの公園はみんな同じようなものですけど」
慶太「なあ、その敬語止めてくんねーか? むずがゆくなっちまう」
2006/09/20(Wed) | 決闘者の物語 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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